街なかに点在する古民家に泊まり、食事や買い物は街歩きをしながら楽しむ――。そんなスタイルの「分散型ホテル」が今年7月、佐渡市の相川地区で開業する。新潟県内では初めてで、空き家対策と地域経済への波及効果の両取りを狙っている。
佐渡金銀山のシンボルとなっている露天掘り跡「道遊の割戸」からほど近い佐渡市相川新五郎町。国登録の有形文化財「旧相川拘置支所」のはす向かいに、昭和10年代に鉱山労働者のために建てられた平屋の木造住宅が残っている。
中に入ると柱やはりなどの構造はそのままに畳や照明が新調され、真新しいエアコンや温水洗浄便座付きのトイレが備え付けられている。「ここは一棟貸し。長期滞在者のためにキッチンもあります。高台にあり、プライベートデッキからの見晴らしもすてきです」と佐渡観光交流機構の山本尚代さん(44)は話す。
政府系銀行も出資
分散型ホテルはいずれも空き家となっていた4棟の古民家を改装し、計7室で開業する。フロント機能は街中心部の1棟に集約し、チェックインした宿泊客はおのおのが泊まる棟へと徒歩などで向かう想定だ。
ホテル開業に向けた動きは2020年に始まった。全国各地で分散型ホテルを手がける「NOTE」(兵庫県丹波篠山市)と佐渡観光交流機構などが協定を結び、地元住民向けの説明会を10回以上開催。22年に運営会社「相川車座」を設立した。
古民家の改修費用など総事業…